川島哲のキャストパーシャルの真実

第26回 川島 哲(Tetsu Kawashima) 提唱  <T.Kデンチャーデザイン三角理論>― その運用について

引用文献 2021年

“創” 義歯の時代 Denture Designerへの道 T. K. Design 三角理論

川島哲著 医歯薬出版株式会社出版

p82~83 第6章「最終設計」義歯に生命力を与えるDenture Designの手順

―患者さんの思いを義歯(かたち)にするー

「最終設計」義歯に生命力を与えるDenture Design三角理論の手順

―患者さんの想いを義歯(かたち)にするー

 

1 多数歯欠損補綴のDesignアプローチの原理

Tetsu Kawashima Triangle Denture Design (T.K. Triangle Denture Design)

筆者が1974年(47年前)から開発してきた、キャストパーシャルデンチャーにおけるT.K

デザインの基本形となる原理(Principle)を、ここに提示するT.K三角デンチャーデザインは、いかにして考えられたのか? T.K. Designの根源には、歯科技工こそが患者さんの想いを嗅ぎつけ、その苦悩を最も身近に理解する職業存在であらねばならないという技工哲学がある。

そもそも可撤性デンチャーは、手に取り、外すことができるという意味において、非常に貴重な生命維持装置である。ならば、患者さんから見てデンチャーを「美しい」と感じることは大切なことである。人間は美しいものに憧れ、美しいものを必ず手に入れようとする。

「義歯」も「入れ歯」も同じ意味であるが、入れ歯と言った途端に「入れ歯?」「入れ歯なの?」「入れ歯じゃん!」と、忌み嫌うような格好悪いイメージになるのは不思議だ。

これは、入れ歯のマイナスイメージが従来から先行しており、「具合が良くないのが入れ歯なのだ」という強い思い込みが定着しているからと考えられる。

患者満足度の低いイメージを払拭するには、単に具合が良いだけの入れ歯ではなく、「清潔で格好良くDesignされた入れ歯」の登場が求められる。

であるからこそ、T.K. Design三角理論は、見るからに「生命力あふれる躍動的なデザイン」を心掛けて開発された。もし患者さんが入れてみたいという衝動に駆られたなら、その試みは成功したと言える。入れ歯には、そもそも大きくて野暮ったく異物感漂う印象が否めない。だからこそ、私達には義歯を格好良く作らねばならない使命が存在する。

それを宿命と思えばこそ、“ 入れ歯”に付きまとった負のイメージを、 きっと打破できるはずである。

 

各論① 総義歯におけるT.K. Denture Design三角理論の原理

パーシャルデンチャーと言っても、金属床義歯のデザインの基本となるのは総義歯学であり、その原理は術者の可撤性義歯に関する総合的な知識と経験で判断される。超高齢化の波により増加傾向にある多数歯欠損のキャストパーシャルは、加齢による装着後の経年変化によって生じた吸収変化をリメイクされることを前提とし、将来的には総義歯にもできる対応型デザインとすることが基本である。

金属床義歯はレジン床義歯とは異なり,患者さんにとつて快適な装着感を目指す。つまり金属床義歯は、異物が違和感として付きまとうデンチャーを望まない患者さんのために、強くその存在意義があると言える。絶妙に調和して機能する人工臓器、いわゆる生命維持装置は、劇的に美しくなければならない。

医療製造物たる補綴装置を製作する際には、学問的もしくは学術的な背景に基づくことは当然である。しかしながら、それに留まらずさらなる快適性を求めるのであれば、患者さんの「義歯に対する想い」を最大限汲み取りながら寄り添う「心の歯科技工学」が大切となる。

患者満足度を高める、キャストパーシャルにおけるTKデンチャーデザインとは、患者さんの想いを具現化する理論である。そこで、筆者が1974年から開発してきた上顎におけるキャストパーシャルデザインの基本形の原理論である基準を公開する。そして、読者諸兄が描記しやすい方法として三角基準のランドマークを提示する。

 

(引用文献)  2021年出版

“創” 義歯の時代 Denture Designerへの道 T. K. Design 三角理論

川島哲著 医歯薬出版株式会社発行

p82~83 第6章「最終設計」義歯に生命力を与えるDenture Designの手順

―患者さんの思いを義歯(かたち)にするー

 

総義歯におけるT.K(Tetsu Kawashima)デンチャーデザイン三角理論

 

(告知)

デンチャーデザイン三角理論の商業利用について、各歯科医師&歯科技工士の皆様にお知らせする。

 

デンチャーデザイン三角理論を学び、それを各自の臨床に、日本を含めた世界の歯科技工所(歯科技工士)が応用したりすることは厭わないが、引用文献としての出典を明らかに明示すべきです。それがモラルであり紳士的な考え方です。

デンチャーデザイン三角理論をあたかも自分の開発した理論のように誘導することは如何と思う。

お知らせするが、川島セミナー主催の実技コース(6か月&7か月)の卒業生もしくは「義歯建築家」6か月コース卒業生並びにPSD協会会員は、大いにデンチャーデザイン三角理論を堂々と展開して欲しいが、特にその限りではない歯科医師&歯科技工士は引用文献としての出典を明示しての活用こそが学術的モラルです。

昨今のCAD-CAMを用いてのデジタルデンチャーデザインでも、明らかにT.Kデンチャーデザイン三角理論の“なりすまし”的なキャストパーシャルが出回っています。それらについては出典がされていないことが多く存在する。

川島セミナー臨床コース卒業生であるかのような傾向は、自らの行いを反学術活動として自覚して欲しいと思う。

“偽物は本物の理論を超えることは無い”と言われますが、私は本物を超えることを期待している。

よって今後共更なる“患者さん想い”の道程を、互いに解り合える歯科医療人として、ジェントルに探求することを切に要望する。

“何を学んだかも大事な事ですが、誰から学んだか”を忘れてはいけないと思う。

正しく、川島哲の開発したハートフルなデンチャーデザインを、世のために普及させてほしいと切に願う。

 

一般社団法人 日本補綴構造設計士協会(PSD)会長

有限会社ユニデント 代表取締役社長

川島セミナー代表

川島 哲