川島哲のキャストパーシャルの真実

第19回 キャストパーシャルデンチャーの真実

川島哲セミナー・7か月コース受講生の、ある人からの依頼について

 

川島セミナー、いわゆる金属床製作法に関する実技研修会は、開催当初から数えて、もはや30年を超えている。

実際、こんなに長く実技研修会を継続するとは、思ってもみない事だった。

ただし、長期にわたる実技研修会は、受講生たちに対する真摯な対応が必須であるので、気を緩めることは出来ないし、様々な個性ある皆様を御預かりするので、当然ながら講師の心も、とても広くしていかないと継続できない。

これまで参加された受講生達と研修会を支えて下さった各メーカーやスタッフの皆様には、この場をお借りして感謝したい。

その中で多くの経験をさせて頂いたが、ネガティブな記憶となる出来事は2つある。

今回は2008年 第21期生の、札幌市から参加された、○田○○君の依頼事項が思わぬ方向に展開した事について述べる。

川島セミナー研修中に、彼は勤務時間の長さを“ぼやけ気味に”話されていた。

徹夜して、AM3時頃に帰宅し、4時頃に寝る毎日。AM3時に帰宅したなら直ぐに寝ればいいと思うが、彼のルーティーンは1時間新聞を読むことが日課で、どんなに疲れていても、こればかりは止めない。

睡眠時間は数時間で出社する日々を続けていたそうだ。

Co-Cr床コースも無事終了し、晴れて補綴構造設計士を取得した。

ある日、電話で○田○○です、先生私“死んじゃうんです”いきなり話し始めた。

どうしてと聞くと過酷な徹夜続きで体が持ちません、いつ死ぬかわかりません!!

そして、先生 私は北海道を捨てて東京に出たいのです、助けてください!!

そんなにつらいんだ、きつくてしょうがないんだね、はい“死にそうです”助けてください!!

是非とも自費の金属床を出来るLabo を探してください。

私は、“死んじゃう”という切迫した表現で、これは人命救助だ、どうにかしなければと思い、Laboを探すねと答えた。

命にかかわると思い直ぐに、東京のあるLaboの社長に面接して頂けるかを聞いてみたら、金属床の歯科技工士を求めてるので、とりあえづ面接をしてくれることになった。

早速にO田君に連絡したら、休みを利用して上京して来るとのことだった。

その時に、私はもっと思慮深く考察すれば良かったのに、行動してしまう自分が居り、これが思わぬ展開を招くことになるの、、、です。

私の電話の後に、すぐに○田君は社長様に、川島先生が就職先を紹介してくれたので、会社を“辞めます”と話したそうです。

そして、私がO田君、まだ面接をしてくれるという段階なので、就職が決まったわけではないし、川島が就職先を斡旋したと“どうして社長に”言うの?と聞いたところ、だって私は“正直”に経緯を話したので、どこが問題ですか?と、のたまった!!!

わーー わーーです。勤務先のBossには、「死んじゃうから」とは、言ってないじゃないか?

完全にやられました。死んじゃうと言うから紹介したのに、、、、人命救助が思わに展開に陥った。その後は、面接も終わり紹介先に無事就職したが、札幌界隈では、こういう中傷がまかり通った。

川島は研修会で金属床を学ぶために上京させて上げたのに、うちの社員を“そそのかし”就職先まで斡旋したんだぜ。

どんな研修会なんや!!人間性なんて無いようなもんだ!!

相当その社長さんは怒ったようです。

これでは、社長が怒るのは当然と思う。しかし結果は思わぬ方向に行ったが、当の彼は正直に物事を言ったまでで、どこが悪いの?

要するに“死にそう”を盾に言えば、動いてくれるはず。

人生は自分の想いどおりになれば良く、私の立ち位置は全く理解しない。

その○田君なる歯科技工士が、今月号のある月刊誌に自ら所属する、スタディーグループの連載に小論文を載せていた。

“死んじゃう”という嘘?捏造?が、想像できない程、元気な近影のお姿も誌面からも拝見できた。仲間もできて家族もできて、とても幸せな感じに見えた。

実は、彼は研修会当時から、見かけはスーツをサラリーマンのようにさらりと着こなし、清潔感溢れて、顔も整っており非常に素敵な感じに見える好青年で、まるでビジネスマン到底歯科技工士のような感じは全くない。

東京人のようにお見受けする、上京後9年後のお姿である。

 

“死んじゃうよ”という言葉を信じた自分が“今は”とても軽率に思え。

私を“ダシにして”上京のきっかけが欲しかった、ただそれだけ。

ただし、その後紹介先に留まってることは、彼の上京の夢がかなった訳で、レスキューと思へばと自分を納得させている。

今も、受け入れ先の社長様の心の広さに、とても感謝している。

 

あの北海道の社長さんは、今も怒ってるだろうと思うと、いつかお会いすることが叶えば、心よりお詫びしたい。

嘘も10回言われれば“真実”になる怖さを、今後は思慮深く上手に乗り越えたい。